この2年間、毎月欠かさず書いてきたこのコラム。
ですが、あまりにも目まぐるしい日々に追われ、やるべきことが次々と押し寄せるなかで、執筆することを完全に忘れていました。
今、何が起きているのか。
ざっくり言うと、とてもいいことが次々と起きています。
7月と8月は、ファッション業界で最も権威あるプログラムの一つ「2026年CFDA/Vogueファッションファンド」のファイナリストとして、さまざまな課題やプログラムに挑戦する日々を送っていました。
日本人のファインジュエリーデザイナーがファイナリストに選出されるのは、20年以上にわたる歴史のなかで初めてのことです。
最初に行われたのは、ニューヨークのスタジオ訪問でした。
MILAMOREの原点とは何か。
KINTSUGIのデザインは、どのように生まれたのか。
今、何をつくっているのか。
そして、これからどこへ向かうのか。
そのすべてを、ファッションデザイナーでCFDA会長のトム・ブラウンさんをはじめ、CFDA社長、Vogue Business編集長、Vogue US編集長の皆さまにプレゼンテーションしてきました。
そこで、皆さまが共通して評価してくださったことがあります。
「MILAMOREの強さは、単にデザインが美しいことではなく、ジョージ自身の経験や文化、価値観、そして哲学からデザインが生まれていること」これまで、ただがむしゃらに走り続けてきたので、自分では無意識にやっていたことなのかもしれません。
ただ、一つだけ言えることがあります。
これほど多くのものがあふれ、星の数ほどデザイナーが存在する世界で、自分がデザインする意味は何なのか。自分はなぜ、ここにいるのか。
そのことは、いつも意識しています。
フィリピンから日本へ移り住んだこと。
文化の違いや言葉の壁に葛藤し、いじめを経験したこと。
複雑な家庭環境。
日本からニューヨークへ移住したときの挫折。
僕は、これまで経験してきた痛みや苦しみのすべてを、美しい「デザイン」へと昇華することだけを考えているのかもしれません。
ジュエリーは、次の世代へと受け継がれていくものです。
資産としての価値はもちろんですが、ジュエリーとともにKINTSUGIの哲学まで次世代へ受け継いでいくことができたら、これほど嬉しいことはありません。
そんなことを考えているうちに、瞬きをしたら9月になっていました。
9月11日のニューヨーク・ファッションウィークを皮切りに、年末まで新たな挑戦が続きます。
まずは、ニューヨーク・ファッションウィークの公式カレンダーで、MILAMOREとしてプレゼンテーションを行います。
MILAMOREとは何か。
KINTSUGIとは何か。
「Mended, Not Broken.」とは何か。
そして、稲木ジョージとは何者なのか。
それらを通して、どのような世界観を生み出せるのか。新しい表現に挑戦してみたいと思っています。
その後は、CFDAのプログラムの一環としてパリで行われる展示会へ。ニューヨークに戻ってからはデザインチャレンジに取り組み、そして、いよいよフィナーレとなる授賞式を迎えます。
そうしたら、もう年末ですね。
このコラムを書くことは、僕にとって、自分の気持ちを整理し、これまでを振り返り、読んでくださっている皆さまとつながるための大切な時間でした。
とはいえ、この調子だと、また書くことを忘れてしまうかもしれません。
「ジョージ、今何してるの?」と気になった方は、ぜひInstagramの@GeorgeInaki をのぞいてみてください。
CFDA/Vogueファッションファンドで最高の結果を残せるよう、皆さまから応援とエネルギーをいただけたら嬉しいです。
それでは、また。